最初は少なく買う
絵を始めようと画材店に行くと、何十種類もの鉛筆や紙、消しゴム、擦筆、定着液が目に入ります。けれども入門段階で必要なものは思ったよりずっと少なくてすみます。道具をそろえすぎると、どれをいつ使えばいいのか迷い、かえって練習が散らかります。鉛筆三本、スケッチブック一冊、消しゴム二種類で始め、数週間描いてみてから足りないと感じたものだけをひとつずつ足すほうが、お金も節約でき、道具の違いも正確にわかります。高価な専門家向けの製品と文房具店の製品の差は、腕が上がってから実感できることが多いものです。
鉛筆の硬度表記の読み方
鉛筆に書かれたHとBは芯の性質を表します。Hは硬さを意味し、数字が大きいほど硬く薄い線になります。Bは黒さを意味し、数字が大きいほど柔らかく濃い線になります。真ん中にHBがあり、その間にFを置くメーカーもあります。同じ表記でもメーカーによって濃さが少しずつ違うので、別の会社の鉛筆を混ぜて使うときは一度ずつ塗って比べておくとよいでしょう。入門用なら次の三本でほとんどの練習ができます。
- HB:下描きと軽い線、形を探す段階
- 2B:輪郭を整え、中間の調子を塗るとき
- 4B:いちばん暗い部分と強調したい線
- 必要になったら6B以上や2Hを足す
削り方と持ち方
絵を描くための鉛筆は、カッターで木を長く削って芯を一センチ近く出すことがよくあります。芯が長く出ていれば、鉛筆を寝かせて芯の側面で広い面を塗れるからです。鉛筆削りを使ってもかまいませんが、側面を使う練習をしたいならカッターで削る方法を覚えておくと便利です。持ち方は二つを使い分けます。字を書くときのように持てば細かい線を正確に引きやすく、鉛筆を手のひらの内側に寝かせて上から持てば、腕全体で長くなめらかな線を引いたり広く塗ったりしやすくなります。上から持つ方法は最初こそ慣れませんが、大きな形をとるにはずっと有利です。
紙の選び方
紙は厚さと表面の目をあわせて見ます。厚さはふつう一平方メートルあたりの重さである坪量で表し、数字が大きいほど厚く、消しゴムや重ね塗りによく耐えます。表面の目は手でなでたときのざらつきで、目のある紙は鉛筆の粉がよくのって濃い調子が出しやすく、なめらかな紙は細かい線とやわらかなグラデーションに向いています。練習量が多いときは薄くて安いクロッキー帳を、一枚を長く仕上げるときは少し厚めのデッサン用スケッチブックを使う、と分けるのがおすすめです。
- 手早い練習:薄くて枚数の多いクロッキー帳
- じっくり仕上げるデッサン:少し目のある厚手のスケッチブック
- 水を使う予定があるなら:水彩専用の紙を別に用意
- 大きさ:小さすぎない中くらいのほうが腕を使いやすい
消しゴムと補助の道具
消しゴムは二種類を併用すると便利です。ふつうのプラスチック消しゴムは線をきれいに消すとき、練り消しは調子を少しだけ抜いたり明るい部分をつくったりするときに使います。練り消しはこすらず、紙に押し当てて離し、鉛筆の粉を写し取るように使います。先をとがらせて細いハイライトをつくることもできます。紙を巻いた擦筆は調子をなめらかにのばす道具ですが、最初から頼りすぎると線で調子を重ねる練習が減るので、控えめに使うのがよいでしょう。仕上げた鉛筆画がこすれないように吹きつける定着液はにおいが強いので、屋外か換気のよい場所で使います。
最初の買い物チェックリスト
次のものがそろえば、このテーマのほかのガイドに出てくる練習をすべて試せます。
- 鉛筆HB、2B、4Bを各一本
- 鉛筆を削るカッターまたは鉛筆削り
- 練習用のクロッキー帳一冊
- プラスチック消しゴムと練り消し
- 紙を支える硬い板か画板
道具より先に決めること
道具がそろったら、次は描く場所と時間を決めます。机の上にスケッチブックと鉛筆を出したままにしておくと、始めるまでの手間が減り、毎日描くのがずっと楽になります。鉛筆画は手の側面に黒鉛がついて紙をこすりやすいので、描く手の下にきれいな紙を一枚敷いておくとにじみを防げます。右利きなら左上から右下へ進める順番もこすれを減らしてくれます。描いた紙には日付を書いておきましょう。同じ道具で描いた一か月前の絵と比べられてこそ、上達したのか、道具を変える時期なのかを判断できます。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します